メルマガ登録解除のユーザエクスペリエンスと、企業の課題

たまたま旅行中にたまったメールの仕分けをしていて、改めて「メールマガジン」の登録解除がひどくめんどくさいと実感した。

メールマガジンの登録解除てどんな手順でやってます?

とりあえずいっこやってみた。こんな手順だった。

  1. メールマガジンから登録解除用URLを探す
  2. 登録解除URLにアクセスする
  3. 下記が必要だったが、登録したのもずいぶん昔のことなので覚えていない
    1. 会員番号もしくはID
    2. 上記に対応するパスワード
  4. 「ID、パスワードをお忘れの方」と書かれたリンクをクリックする
  5. 氏名や生年月日、郵便番号、ケータイ番号などを聞かれる
  6. これまたどの情報を登録したか覚えていない。昔の電話番号だったっけ?それとも職場の?はたまた実家の?みたいな。
  7. 結局、登録解除ができない

、、。登録解除できねーよ。しかも登録解除できないことをどうにかしてくれる窓口なんてなさそうだし、、。

忘れるほうが悪いのか? やりかたわからないほうが悪いのか?

もちろん、発行企業側からしたら「どの情報登録したのかなんて忘れるほうが悪い」ってことになる。自分も仕事では「そこはやむをえないが顧客に不都合を強いざるを得ない部分」と割り切って提案することもある。

だけど、正直言えば、オンラインであんまり個人情報を正確に統一して入力する気にもならないし、「あんたの会社の最新情報がほしい」と言っている潜在顧客でもあるんだから、あんま手間なく情報くらいほしい。

しかも問題は、必要な作業や必要な情報がメールマガジンの発行元ごとに全く異なっていて、「情報収集」という同じ体験であるにもかかわらず、その整理にあたっては毎回まったく未知の作業をしなければならないということだ。こんなところに学習や試行錯誤のコストをかけたくない

RSSだったらどうなのよ?

RSSの場合は、これが180度変わってくる。

  1. 要らなくなったフィードを選ぶ
  2. 登録解除ボタンを押す
  3. 確認ボタンを押す
  4. オシマイ

たいていはこれだけだ。個人情報を入力したり、パスワードを思い出したりする必要は全くない

しかも、重要なことは、自分が使っているツールが変わらない限り、この作業は他の情報源についても全く一貫しているということだ。

そのことにより「登録解除」は、2-3回やってみれば、それ以降はきわめて簡単な作業となる。

じゃぁその利便性の差って、ナンに影響すんの?

残念ながら、この「利便性の差」というポイントは、必ずしも「だから企業はもうメールをやめてRSSを配信すべき」みたいなところには結びつかない。

メールマガジンを発行している企業では、個々の担当者レベルでは、メールマガジンの登録者数の目標が○○万件、みたいなコミットメントがあったりすることが多い。

そうすると「消費者の利便性を最大化することが至上の命題です」みたいな理想論だけではなかなか現場は動けない。むしろどちらかというと「登録解除が簡単にできるなんて、とんでもない」という企業のほうが多いはずだ。

しかし、消費者がより使い勝手のいい情報収集チャネルを選択することは、誰にも止められるものではない

こうした利便性の差がある限り、今後、RSSもしくは同等の技術(どういう名称で普及するにしても。)が普及するにしたがって、「メールマガジン」の効果が徐々に低下していくことは避けられないはずだ。

どんな情報を、どんなチャネルで?

そうしたことを考えると今後は

  • 単純な継続的な情報配信はRSS
  • 商品の配送情報や、それに直接関連した情報だけはメールで

という方向性に徐々にシフトしていくんだろうと思う。

効果が低下した「メルマガ」を配信するためだけに、膨れ上がる個人情報保持リスクを背負うのも馬鹿らしい話だ。

「○○件のユーザー獲得が必須なので、どうしてもRSS配信はできないんです、、」というような、誰も幸福にならないコミットメントを現場に課す企業が減ることを願っている。