「マッシュアップへの警鐘」は、供給の寡占への警鐘である

マッシュアップへの警鐘」は、供給の寡占への警鐘であり、「マッシュアップ」自体は必ずしもカタナの刃ではない。

マッシュアップの大流行ですが、元のデータベースが「柄」で、サービスを開発している方々は、「刃」を持たされているに等しいと感じています。

つまりもっと具体的に言えば、太るのはグーグルさんであり、ヤフーさんであり、DBを解放している会社さんです。そして、刃を握られているは、マッシュアップでサービスを開発している会社さんです。

Web2.0の時代で、重要なのは「データベース」を持つことであり、そのポイントを外してはいけません。

ちょっと考えてみたい。

市場の魅力度と「供給業者の交渉力」

市場の魅力度を測るのに

  1. 供給業者の交渉力
  2. 業界内の競争
  3. 買い手の交渉力
  4. 新規参入の脅威
  5. 代替品の脅威

みたいなモノサシを使う方法があったと思うが、マッシュアップをビジネスとして行いたいプレーヤの場合、

  • 供給業者: データ、APIの提供
  • プレーヤ: 高付加価値サービスの開発
  • 買い手:  コンシューマかもしれないし、さらなるマッシュアッププレーヤかもしれない

という構造になる。*1

供給を他に代替できる、など供給業者の交渉力を弱める方向の要因があれば、別にプレーヤのビジネスがマッシュアップだろうがなんだろうが問題ないんではないか。

寡占状態と代替プレーヤへの期待

いま問われているのは、有用なデータやAPIの寡占によって、供給業者の交渉力がきわめて強くなっていることであって、マッシュアップによるビジネス構造そのものではない。

熊谷氏が「ポイントを外さないことが大事」というのは、もちろん「供給が寡占されているうちはマッシュアップは危ないね。危なくなくなったら検討に値するけれども。」ということであって、「マッシュアップそのものが危ないね」ということではないはずだ。

インテルインサイド」にかわって「データ・インサイド」になると言われているが、AmazonGoogleに対する「AMD」の役割を果たすプレーヤは必ず必要になる。コンシューマを集めることに長けている企業やその方面に力を割いている企業は、もちろんここを狙っているはずだ。

*1:これ自体は確かに、XML/WEBサービスの普及(≒Web2.0的ななにかの要素)によって情報流通の分業が低コスト化したから可能になった構造だ。