第三ゴールキーパーというポジションと、日韓戦の土肥のパフォーマンス

サッカー日本代表東アジア選手権韓国戦。

まぁもちろん若手も楽しませてくれたわけだけれど、メディアであんまり触れられてない土肥についてどうしても一言いいたい。

ピッチの中だけを見れば、第三GKとは「保険」以外のなにものでもない。
  • GKは、スタメンの選手によほどのことがない限り控えの選手が出場する機会がないという点で、他のポジションとは大きく異なる。
  • 特に第三GKとなると、先発で試合に出場するチャンスはほとんどないと言ってもいい。
  • にもかかわらず、上位のGKが怪我をした場合に繰り上がって控えのGKを努める選手が必要である以上(第一GK:ケガ、第二GK:退場、もしくは累積警告というシチュエーションはありえる)、絶対に第三GKをチームから外すことはできない。
  • この意味では第三GKとは、「保険」以外のなにものでもない。
  • 試合の中でのパフォーマンスだけを見るのであれば、まったく報われないポジションだと思う。
第二、第三GKがピッチ外であたえる影響はきわめて大きい
  • 一方で第二、第三GKが、練習や試合で好パフォーマンスをみせることがチームに与える影響力は大きい。
  • GKに限らず、控えの選手のモチベーションというのはどのチームも頭を悩ませる問題だ。
  • 控え選手の多くは「なぜ自分が評価されないのか」と複雑な気持ちを抱く。
  • それが積もり積もると、時に現行の体制に対する疑問や諦念、批判的な空気の源ともなる。
  • こうした空気が生まれたチームは容易には立て直せない。
  • そんななか、フィールドプレーヤーよりも出場が難しい控えGKが、腐らずに取り組み、チャンスで結果を残す姿勢を見せることで、チーム内の競争関係を前向きなものに方向付けることができる。
  • だって、GKの控えがきちんと練習に取り組んで結果出してたら、それよりも試合に出るチャンスの多いフィールドプレーヤがいつまでも文句ばっか言ってらんないじゃん?
    • また、練習時間の多くをGK3〜4人だけの、フィールドプレイヤーとは別のメニューで練習することもあり、サッカーのチーム内ではGKの存在感が特別という事情もある。
  • その意味で、ピッチ上にはいなくても、「第二GK」や「第三GK」というのは、立派にチーム内のひとつのポジション、役割だと思う。
代表の第三GKという難しさ
  • もちろん、どんなに長い間試合に出場できなくても、腐らずに、チーム内の良好な競争関係を保ち、そしてたまに試合に出たときには結果を残さなくてはならないというのは、メンタル的には非常に難しいポジションであるに違いない。
  • 特に代表ともなれば、所属チームに戻れば第一GKとしての自負もある実績のある選手が集まる。そうした選手が、第二、第三GKの役割を受け入れることにはより困難があるだろう。
  • だからこそ、代表でそのポジションを安心して任せられる選手はより貴重になってくる。土肥は、昨日の試合で改めて、その素晴らしい資質、存在をアピールできたのではないか?
昨日の日韓戦で土肥が見せたパフォーマンス
  • 土肥に関しては、下記のような資質は既に報道されていた。
    • 控えであっても常に試合に臨む準備ができている
    • 年長者としてチームをまとめて、盛り上げる役割を果たしている
  • これに加え、昨日の試合で
    • 試合に出れば、他の選手にまったくひけをとらないレベルでプレーできる
  • ということを改めてアピールできたはずだ。もし、自分のチームにこういうGKがいたら、めちゃめちゃ心強く感じるし、「ああ、もっと頑張んなきゃ」「チームに貢献しなきゃ」って思うよ。
  • 土肥の所属チームであるFC東京のサポーターにとっては、複雑な気持ちもあるだろうなとは思う。
  • 応援するチームの誇りでもある第一GKが、代表では常に控えで、試合出場の機会もなく、召集されては練習試合に起用されるだけで、チームに戻ってくる。
  • そりゃ「使わないなら呼んでくれるな」という気持ちにもなるだろう。


  • しかし、代表における第三GKという難しいポジションを努められるのは、誰にでもできることじゃない。そのなかで土肥は、立派に役割を果たしつづけている。おれは、それって尊敬できることだと思うけれどな。
  • 今後、ZICOジャパン内の競争が、どうなるかわからないけれど昨日は素直に土肥のパフォーマンスと、試合後のこの写真を見て感動しました。
  • そんなわけで勝利&好パフォーマンスおめでとう。