RSS/remixにおける著作権の問題:「同一性保持権」と「再配布権」

RSS著作権がどうなるのかという問題については、以前書いたように、RSSがビジネスとしてブレークするために必ず解決しなければいけない問題だと考えている。

「同一性保持権」の適用範囲はフィードかアイテムか?

同一性保持権。

■同一性保持権の、改変に該当する例
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・小説のストーリーの変更
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仮にRSSのフィード単位で同一性保持権が適用されるのであれば、許可を得ないコンテンツremixは同権利の侵害となる。しかしこれでは、remixする際にいちいち許可を取る必要があり、remixの可能性を大きく閉ざす。

一方RSSのアイテム単位で同一性保持権が適用されるのであれば、アイテムの内容自体を改変(アイテムへの広告挿入とか)しない限り、同一性保持権の侵害にはあたらなくなる。これであればコンテンツremixは制限を受けない。

ただ、適用範囲をアイテム単位とした場合、既存のフィードにアダルト系のアイテムを差し込んで再配布する事業者なんかが出てくることを考えると、それをアイテム単位の同一性保持権で縛れるかというと微妙。

「再配布」の法的根拠はなにか?

さらに、再配布の問題がある。

著作権法では、著作権全て(再配布の権利とか、著作者人格権とか、同一性保持権とか)が自動的に著作権者に帰属してしまうため、フィードの配布は、著作権法的には「引用」の枠組みでしか行えない(と思う。専門家の人ツッコミよろしく)。

それを解決する枠組みとして、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの取り組みがあるが、まだフィード発行者全てが対応している状況ではない。

あなたがメモ用紙に書いた走り書きも、ペンがメモ用紙を離れた瞬間、あなたの著作物となり、あなたはその走り書きを複製し、配布する排他的な権利を得ます。日本を含め、一部の国では、そのような権利が発生するのには著作権表示すら必要とされていません。しかし、このように自動的に著作権が発生する仕組みとは違った仕組みを希望する方も多くいるかも知れません
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それなのに、実際には、あなたが排他的に有している権利のごく一部だけしか主張するつもりがないとか、どのような権利も主張しない、ということを表明するための簡単な方法は存在していません。同時に、権利が主張されていない著作物を複製し、再利用したいと考えている人にとっても、著作権表示がなくても著作権が発生するという事情によって、利用できる著作物を見つけ出すことは簡単ではありません。
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私たちはこの2つの問題を解決するためのツールを提供したいと考えています。

同サイトでは、日本法準拠版ライセンスとして以下の6つを提示している。

  • 帰属
  • 帰属 - 同一条件許諾
  • 帰属 - 派生禁止
  • 帰属 - 非営利
  • 帰属 - 非営利 - 同一条件許諾
  • 帰属 - 非営利 - 派生禁止

RSSでの利用においても当然ながら、コンテンツの「帰属」(ついでに言えば遡及元リンク)が明示されることは必須だろう。コンテンツ伝播の見返りとして、トラフィックもしくは評価を得なければ配布する意味がないし。

また、「同一条件許諾」を選ぶか「派生禁止」を選ぶかは排他選択になるが、前者については「改変した作品を同じようにクリエイティブ・コモンズのライセンスでリリースする場合にだけ作品の改変を許諾する場合」との説明があるので、そもそも改変自体を禁止したい場合はこれでは禁止できない。その場合は「派生禁止」を選ぶべきだろう。

ただ、改変を禁止してしまうとネット上で再利用されるエネルギーも削いでしまうことになる。とにかくアイディアの普及とともに自組織名の普及を考える場合は「帰属-同一条件許諾」を選ぶべきだ。

このへんは目的に応じて。

ついでに言えばクリエイティブコモンズは計算機による解釈が可能な仕組みを持っているので、その意味でもRSSのライセンス形態としてふさわしい。

そんなわけで、、

そんなわけでRSSの利用については、いまのところ、

あたりが必要なんではないかと考えている。この件に関しては正直、自分は専門でもなんでもなく、ビジネス上解決しなければいけない問題というだけの立場なので、専門家の議論を待ちたい。

あ、Feed Business Syndicationにやってもらえばいいのか。

050705追記

関連する情報をまとめているエントリを発見。TBさせていただきますm(_ _)m

文化庁のサイトに「自由利用マーク」というのがある。「著作物を創った人(著作者)が,自分の著作物を他人に自由に使ってもらってよいと考える場合に,その意思を表示するためのマーク」だそうだ。なんだかクリエイティブ・コモンズに似ているな、と思ったが、どのあたりがちがうのだろうか。