魅力品質を語る前に、基本品質を見つめなおせ、と。自戒的に。(狩野モデルから考える)
きょうリリースされたサイボウズさんのFeedpathをみて感想をつらつら考えていたが、POLAR BEAR BLOGさんがつっこんでいた。まったくもって同感ということで、後追いエントリを書いてみたい。(自分自身の勤務先のサービスに対する自戒の意味も大いにこめてます。)
タギングや情報共有の機能に目を向ける前に、RSSリーダーとして十分な機能を提供しているか、ベータテストの間に再確認する必要があるのではないでしょうか。
僕も単純な「RSSの追加」(OPMLで複数とかじゃなくてよ)をしようとして、「認識できません」といわれた。別にひねくれたRSSでなくて、この日記のRSSで。ほかのRSSも含めて5回も10回も試したがだめだった。ブラウザが悪いのかな、、?
Validateを通っているOPMLも、なんだかエラーで読み込んでくれなかったし。
結局リーダーとして使い始めるところにすらいたらなかった。*1
(2006/2/1 追記:きょう試したらできるようになってました。)
基本品質が満たされない製品は、どれだけコンセプトがすぐれていようが顧客にとっては無価値である。
製品の品質を検討する枠組みに「狩野モデル」というものがある。
3種類の品質
狩野モデルは、(中略)顧客の反応が3種類に分類できることを示している。例えば、当たり前(基本)、一元的(性能)、魅力的(興奮)となる。
単純に言えばこうなる。
- 基本品質
- 満たされても意識されず、満たされない場合にだけ酷い不満要因となるもの
- クルマ:走る
- レストラン:料理が出てくる
- マンション:震度5で倒れたりしない
- 満たされても意識されず、満たされない場合にだけ酷い不満要因となるもの
- 性能品質
- 満たされていれば満たされている分だけ、満足度が向上するもの
- クルマ:きびきび動く
- レストラン:旨い
- マンション:住みやすい
- 満たされていれば満たされている分だけ、満足度が向上するもの
- 興奮品質
- 満たされなくても全く不満にはならないが、満たされた場合、満足度が大きく向上する
- クルマ:空を飛ぶ
- レストラン:酒池肉林
- マンション:どこでもドアがついている
- 満たされなくても全く不満にはならないが、満たされた場合、満足度が大きく向上する
そして、品質と満足度とを、縦軸と横軸にプロットした場合、下記のようなグラフになるといわれている。(X軸が品質、Y軸が顧客満足度。右に行けば品質が高く、上に行けば満足度が高い。)
この考え方に従うならば、製品としての基本品質が満たされないならば、いくら「Web2.0」だ「Ajax」だと魅力品質を語ったところで、顧客の満足度は向上しない。
料理も出てこないレストランが声高に「酒池肉林」ですっつっても別に誰も喜ばない。(嘘だ喜ぶ。)
別に事前にあれこれ膨らましてなければ、「ああ、まだ未完成なのだな」と思えるけれども、「Web2.0企業だ」とか「革新的だ」とか煽ってたのであれば、もうちょいどうにかならんもんか、、、、と思うわけですよ。事前に期待水準を上げすぎた。*2
逆に、ほんとうに革新的な品質を備えているのであれば、基本品質が満たされれば満足度は一気に向上するはずなんだから、ぜひ頑張ってほしい。
魅力品質を語る前に、基本品質を見つめなおさないと。
と、Feedpathについての感想を語ってみたが、自分自身も顧客向けのWEBアプリケーションの企画構築の仕事をしている以上、まったく他人事ではない。しかも自分の勤務先が、売り文句に「RSSだCGMだBlogだ」と目新しいキーワードが並ばざるをえないものを作っている以上、その言葉の矛先は否応無く自分自身にも向かう。
サイドフィードさんや、Feedburnerさんなど、優れた質のものを作っていて、かつサービスドメインが自分の勤務先の提供するサービスと重なるサービスがある以上、基本品質で劣っていては勝負にならない。
そんなわけで、魅力品質を語る前に、基本品質を見つめなおすべき、と社内を煽りつつ、YやGという怪獣達の陰におびえながら必死こいて企業向けRSS活用ツールを作ってます。
いや、まじで他人事じゃないんですって。基本品質、満たせてますか? ぼくら。